「サボる子」という評価は変えられる? 息子がプレーで示した”信用貯金”の第一歩

息子(ラグ男)は中学3年生。クラブチームでラグビーをしています。

「ラグ男はサボっちゃうから。そこが直ればね。」

県の選抜活動を担当してくださっているコーチから、そう言われたのは試合の前日でした。

「明日の試合は出られそうですか?」と私が尋ねると、コーチはこう続けたのです。

「出られるとは思います。でも、AではなくBでしょう。」

「パワーもあるし、ラグビーセンスもあるのに、サボる選手と思われている。」
とも言われました。

能力を否定されたわけではありません。課題は、姿勢でした。

スポーツの世界では、技術や体格だけでは評価されません。

普段の練習への取り組み方。最後までやり切る姿勢。仲間や指導者からの信頼。
それらすべてが積み重なって、

この選手を試合に出したい」「この選手を選びたい

という評価につながっていくのだと思います。

そのことを、我が家は改めて突きつけられることになりました。

「遊びに行くから」の一言

コーチと話す少し前、こんな出来事がありました。

クラブチームの練習が終わったあと、パパがラグ男を誘いました。その日はタックルバッグやマットなど、設備の整ったグラウンド。普段はできない実戦的なタックル練習ができる、絶好の機会でした。

「せっかくだから30分だけタックル練習をやろう。」

でも、ラグ男の返事は、

「このあと遊びに行くから時間がない。」

結局その日、二人で練習をすることはありませんでした。

先に帰ってきたパパは、半分怒って、半分がっかりした様子で、事の顛末を私に話してくれました。

それを聞いて、私も「それはいくらなんでも良くない」と感じました。

最近はラグ男にもやる気が見えてきて、パパと一緒に筋トレやランニングを続けていた矢先のこと。

だからこそ、パパのがっかりも大きかったのだと思います。

だから、ラグ男が帰ってきたとき、私は諭しました。

「信用はね、積み重ねるのは大変だけど、失うのは一瞬だよ。
せっかく最近、筋トレもタックルも頑張っていたのに。30分なんて、どうにでもなるでしょ?
朝、そんなに急いで遊びに行くなんて言っていなかったよね?
マットを使ってタックル練習ができる機会なんて、そうないんだから。
よく考えればわかるよね?もったいない。」

私の言葉に、ラグ男は反省したようでした。そして、自分からパパに謝りに行きました。

でも、返ってきたのは、

「勝手にしろ。」

謝っただけでは、すぐに関係は元には戻らなかったのです。

胸に刺さった、コーチの言葉

そして迎えた、試合前日のコーチとの会話。

「サボっちゃうから」という言葉が、私の胸に刺さりました。

思い当たることは、ありました。以前の選抜練習で、シャトルランの途中に「お腹が痛い」と言って抜けたことがありました。走る系のキツい練習では、足やどこかが痛いと言って、最後までやりきらないことが何度かあったのです。

今回は、本当に体調が悪かったのかもしれません。でも、周りから見れば「途中でやめた」という事実だけが残ります。そうした行動が積み重なると、「サボる子」という印象につながってしまう。

信用とは、「本当だったかどうか」だけではなく、「周囲からどう見えるか」でも積み重なってしまう。

私は、その言葉の重さを改めて感じました。

今回、ラグ男がBグループからのスタートになった理由は、公表されていません。でも私は、普段の姿勢や積み重ねが評価に影響した可能性は十分あると感じ、そのことをラグ男にも伝えました。

親はどこまで口を出すべき?

本当なら、自分で考えてほしい。「どうしたら信用を取り戻せるんだろう」

——そこまで自分で気づいて、行動できるようになってほしい。

でも、まだ中学生です。反省はしていても、「次に何をすればいいのか」までは見えていないように感じました。

私は少し迷いました。ここで何も言わずに見守るべきか。それとも、一歩だけ背中を押すべきか。

そして私は、こう伝えました。

「言葉だけじゃなくて、明日のプレーで見せてきな。」

本当は、自分で気づけるのが理想です。でも今回は、「次の一歩」だけは示してあげてもいいと思ったのです。

歩くのは子ども自身です。親が全部答えを教える必要はないと思います。

でも、「次の一歩」が見えなくなっているときは、その一歩だけ示してあげることが重要だと感じました。

翌日の試合

翌日は、県選抜の交流試合。ラグ男はBチームで出してもらえました。

いつも以上に積極的にタックルへ入り、トライも決めました。そして、最後まで走り切りました。

試合後、パパも「今日は良かった」とプレーを褒めていました。

私は、「ほら、言った通りでしょ」とは思いませんでした。

嬉しかったのは、ラグ男が自分で行動に移したこと。助言したのは私。でも、その助言を受けて、実際にプレーで示したのはラグ男自身です。

そこには、大きな意味があったと思います。

信用は、一日では戻らない

今回の試合で、すべての信用が戻ったわけではありません。

パパとの信頼も、コーチからの評価も、一度の試合だけで変わるものではないでしょう。

でも私は、この試合を「信用を取り戻した日」ではなく、「信用を取り戻すための第一歩を踏み出した日」だったと思っています。

スポーツでは、才能だけで選ばれるわけではありません。普段の練習への取り組み方や最後までやり切る姿勢、仲間や指導者との信頼関係。そうした日々の積み重ねが、最後には大きな差になります。

親として理想なのは、子どもが自分で考え、自分で行動できるようになることです。でも、その途中で「次の一歩」が見えなくなっているときは、その一歩だけ示してあげることも、親の役目なのかもしれません。

子どもの評価は、一度ついたら変わらないものではありません。ただ、それを変えられるのは言葉ではなく、毎日の姿勢と行動です。

これから先も、ラグ男が一歩ずつ「信用貯金」を積み重ねながら、自分自身の力で評価を変えていってくれることを願っています。

もし今、お子さんが「サボる子」「やる気がない子」と見られていたとしても、それで終わりではありません。評価は、これからの積み重ねで変えていける。今回の出来事は、私にそのことを改めて教えてくれました。

皆さんなら、こんな場面で、どこまで子どもに助言しますか?

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